村上春樹さんが大好きです。
最新短編 3作同時掲載「三つの短い話」創作/村上春樹 (文學界7月号/文藝春秋)
三作ともに、学生時代(18歳、19歳、?歳)に経験した不思議な出来事を、大人になった一人称(僕、ぼく、僕)がふり返って語る形式で書かれています。短編なので当たり前ですが、登場人物も最低限です。
どの作品も静かに心の底を打つ余韻のあるものでした。
<石のまくらに>
初期作品のような設定。たまたま出会った男女物語。短歌ってあまり読んだことなかったのですが、いいもんですね。もっとも大切なことは書いてない。
<クリーム>
異世界への出入りストーリー。いつもの穴、壁でなくて山上。騎士団長も山の上でした。
<チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ>
タイトルからは予想もつかない展開。ぶっとんでいる。サーカスのような作品です。書いている時は楽しかったんだろうなと。
作中作で入れ子の形はよくあると思うのですが、これが細部に渡って完璧な嘘というのは、ちょっとした実験、遊びですよね。
作中作(僕が書いた音楽雑誌向けの文章)は、作中で「熱のこもった文章」と述べているので、かなりプレッシャーがかかると思うのですが、それに負けていない魂の入った文章になってます。さすがの筆力ですね。これがイマイチだったら、しらけてしまうんですが。
最後の一行は意地の現れなのかも。
この作品がが一番でした。