毎週月曜は読書感想です。
今週はこれ。
羽田圭介さんの有名な小説です。
祖父と孫の物語です。
読むのが辛くなる小説でした。
この主人公の一人、孫の痛さはかつての私でした。
今でこそ、どうしたらよかったのかはわかるけれども、その当時は、祖父に対する反発しかなかった。
私の中にしまわれていた祖父の思い出が次々と蘇ってきました。
私が幼稚園の頃、祖父に遊園地に連れて行ってもらいました。遊園地にプールがあったのに気がついた私は、プールに入りたいと祖父にねだりました。もちろんプールの用意をしていなかったのですが、水着は買えばいい。と言われました。でも浮き輪がないよ。浮き輪ないと泳げない。と言うと、浮き輪はプールさいどにいっぱい置いてあるじゃないか。あれは誰が使ってもいいんだ。と祖父は言い張って私をプールに入れたんです。
しかし予想通りその浮き輪は他の子のものでした。「私の浮き輪を返して」と言われ、仕方なく返したら、祖父がその子に怒ったんです。その子と私は泣いてしまいました。
祖父は厳格で我道を行く人でした。人の言うことはほとんど聞きませんでした。だから私は常に反発していました。良い孫ではありませんでした。
私は反抗期を迎え、家族の誰とも口を効かなくなりました。全く話しかけなかったし、話しかけられても答えなかった。
この小説の孫は、私よりだしぶマシなのですが、基本的に同じような考え方をしています。不器用な孫の物語でした。
孫には時間があり将来、希望がある。彼女もいれば、体力もあり、勉強をする気もある。ないのは愛情表現力だけ。
一方で祖父は、何もない。老化し、日々過ごすことしか考えていない。愛情に飢えていて、私は死んだほうがマシだと言い続けて、家族から疎まれている。
祖父が亡くなる間際に、私の運転で、祖父を買い物に連れていったことがあります。
多分、祖父は覚えてないだろうけど、ただ一つの祖父孝行の記憶です。
しておいてよかった。
所要時間25分