御曹司(部下)がバックヤードと衝突した。
御曹司はできる男である。
我が部署の稼ぎ頭で、私が管理職になった現在では我が部署の売上7割を稼ぎ出している。
そのせいか、最近、調子に乗っていて、やや過ぎるところが目についていた。忙しいせいもあるのか、雑用はバックヤードやヘルプに押し付けていて、反感を買っていた。
御曹司はこれに対してさらに態度を硬化し、より高圧的になっていた。
大体はしばらくすると落ち着いてくるのだけど、今回はとうとう行き過ぎてしまった。
バックヤードやヘルプの反乱、経営部への進言となり、社内大問題化してしまった。
まぁ自業自得なんだけれども、そもそもそういう価値観の持ち主だから、いくらアドバイスしても聞かない。
自分の世界に生きている幸せな男だから。
これでもずいぶんマシになったんだけどね。
と言うことで、御曹司の吊し上げの会が予定された。
御曹司は私のところに来て、
御「こんなことになっちゃったんで、一緒に謝りましょうよ」
私「いやだよー。お前の失敗じゃないか。俺は知らないよ」
御「でも監督責任も追求したいから、上司を連れて来いって言われたんですよ」
私「それじゃ部長に頼めよ」
御「部長に頼んだら、フェデラオに任せたって言ってましたよ」
私(ぶちょーーーー)
バックヤードの怒れる戦士5人と御曹司、訳のわからない中間管理職の私というメンバー構成。
このままでは私も一緒に吊し上げられる。
私は何もしていないのに。
そこで思いついたのは、この場の司会になること。もちろん頼まれもしていない。
私「みなさん、多忙な中、お集まりくださりありがとうございます。まずは御曹司の謝罪を聞きましょう。」(あくまでも私は悪くないから他人ですスタンス)
御「この度は、皆様に御迷惑をかけてしまいすみませんでした。。。(後略)」
私「これを聞いて、皆様のご意見を伺えますか?」(あくまでも私は悪くないから他人ですスタンス)
と、怒れる戦士5人の怒号を30分間、聞くこととなりました。
ほんと危ない。司会じゃなければ、御曹司とともに、怒号を受ける立場になってた。御曹司はフラフラ。私はその都度、わかるよーわかる。という面持ちでうなずき続けました。30分後。一通り落ち着いて来たので、
私「今回のトラブルの原因のほとんどは、御曹司のコミュニケーションエラーのように思います。御曹司はきちんと各方面とコミュニケーションを取るように」
という言葉で締めました。
会議終了後しばらくして、怒れる戦士の一人が私のところに来ました。さらに怒りをぶつけられるのではと、ビビってましたけど、
「フェデラオさんが、御曹司を叱ってくれたんですね。ありがとうございます。これで私達の気持ちもすっきりしました。」
私としては、なんとか吊し上げを免れたい一心の行動だったのだけど、
「この度は、うちの御曹司がすみませんでした。また何かありましたら、私の方に一報くださいませ。」
と何食わぬ顔でぬかしておきました。
あらためて自分の危機回避能力の高さに驚きました。
そしてこの一件で、社内の私の株が上がる。というわけのわからない状況にうろたえています。
当事者みんなが、それなりにハッピーになれたこと。は良かったのですが、意外と人の評価なんて、いいかげんなもんだなー。とあらためて感じた次第。