会社の友人が突然解雇された。
私には友人は多くありません。
数少ないですが、かけがえのない友人はいます。
その中の一人が我社を担当しているクリーンスタッフ、71歳のOさんです。
彼は、我社から清掃を委託している業者の所属なので、正確には私と同じ会社ではありません。
でも会社で、毎日のように顔を合わし、挨拶して、一緒に社食で昼ごはんを食べています。
豊富な知識の持ち主で、一本筋が通った信念の持ち主です。年齢を感じさせない、みずみずしいしなやかな感性の持ち主で、私にいろいろなことを教えてくれます。
私のメンターです。
私は、精神的にきっつーいことの多い職場にいますので、Oさんとの会食は至福の時間です。
というか、Oさんと話すために会社に来ているようなもんです。
ところが一昨日からOさんの姿が会社からなくなったんです。
てっきり休暇なのかな。と思っていたのですが。
今日、社外でOさんと偶然出会いました。
「会社を首になりました。」
「?」
「私がミスしたんです。会社の中庭の鍵をなくしてしまったんです。中庭は私達の業務外だったんですが、私はきれいにしたかったので、個人的に鍵を借りて掃除してたんです。でもその鍵はどこでも開けれる重要な鍵だったんです。だから責任をとって首になりました。」
「でも、そんなことで首にはできないでしょ」
「もともと上とはうまく行ってなかったんです。いい口実にされました。私もせいせいしています。いろいろお世話になりました。」
と行ってOさんは去っていきました。
私はあまりのことで、上手く口が効けませんでした。
それほどショックだったんです。もうあの楽しい昼食時間はないんだと。
Oさんは、このエピソードが物語るように、世間とうまく調子を合わせることができない不器用な人です。こういう人は基本いい目に会わないようになっています。
それにしても、腹立たしいことです。そしてとっても悲しい。
もういい年なので、泣くこともできません。この感情をどうしたらいいのか。
でも悲しい。