この本、流行りの名著のまとめ本だ とてっきり思ってました。
著者の名前もなんだろ?って感じなんで。
ところが中身はふつーの すご本 でした。
まずは現代の脅しマーケティングについて述べられています。
あなたは、コスパ、タイパを意識してライフハックを駆使して教養を身に着けないと負け組になりますよ。という、ホリエモン、中田、ひろゆき方々が言いそうな言葉に対する違和感、息苦しさ。
それに対象する形で出されたのは、出口治明!!さんの「教養を身に着けておくと意外と役に立った」というスタンス。
このままじゃお前たちは負け組だ!という脅迫マーケティング 対 すぐには役に゙立たないけど、長い目で見たら意外と役に゙立ってたんで、損はしないよという、アドバイス
そういえば春樹さんも「小説はすぐには役に立たないけど、長いあいだにじわじわ役に立ってくる。」と言ってます。すぐに役立つものは大して役に立たないのですね。
次に
どうしてこういう状況になったのか。公共性との解離について。
努力よりも運、ツキに左右されがちな世の中だから、地道になにかに取り組むのはコスパが悪い。
確かにその通り。私もそういう実感はある。2年前にこんな記事を書いてます。
運、ツキは大切だし、でもそれだけじゃない。
一方で
努力が全てでもない。
自己責任論は、考え方自体がかなり乱暴。
努力していたら必ずその成果が得られるなんて、そんなウブな考え方は通用しない。
実際にガーナに生まれてたら、どんな努力をしようが溺れ死ぬ。
税金を払うのは義務なんだけど、ある種の保険であり、悲惨な状況に置かれた人々(自分も場合によってはそうなったかもしれない)を助ける相互扶助。
そう考えると税金を払わなかった人は無価値とは思えない。
その中間のグラデーションの中にそれぞれの答えがあるんじゃないかな。
ホリエモンの変節にも言及されていて、当初は社会システムを変えてやろうと考えていたが、今は自分が変化する方向になっている。勝間さんもそう。
AKB商法が既存のオリコンなどのハッキングに使われて、マーケティングという公共性が破壊されてしまった。それに対して、BTSのファン、アーミーが公共性を重視しているのは、世界と日本の器の違いのように思えます。
他にもいろいろ思ったことがあるのだけど、内容がもりだくさんすぎて、書ききれない。
すばらしい本でした。