「今、思いついたのだが」は信用できない。
これは交渉事を行っている人なら、誰もが感じていることだと思います。
私も下手ながら日々、交渉をしていますので、こんなこと言われた時は警戒感マックスです。ははは。
世間話ならまだわかりますが、プーチン大統領自身の選挙直前、支持率低下がしているところで、重要な会談中に、わけのわからない発言を突然するわけがない。と考えるのが普通ですよね。
おそらく前もっていろいろ考えていた上での発言だと思います。
ではなぜこういう唐突な言い方になったのでしょうか。
前もって交渉した場合、すぐに突っぱねられると考えたからでしょうか。発言そのものを制止されてしまうのでしょうか。あまり考えにくいですよね。そもそも無理筋の提案です。当たり前ですが、いまのところ、日本側の反応は薄いようですね。
考えたくはないのですが、私の嫌な想像を書いてみます。
そもそも日本は北方領土問題を前提にしているため、平和条約にはいけません。平和条約のみでは、多くの国民が納得できないでしょう。日本側からは絶対出せない提案です。
ところがロシア側からの唐突な提案の形で出された場合、平和条約だけでも先にしておいて、それから北方領土問題に行ってもいいと考えている人もいるかもしれません。
私は北方領土問題の先送りには反対なのですが、現実、実効支配しているロシア側の有利さは動かしがたいです。国連や国際裁判所で評決をとれば日本は負けてしまうかもしれません。もし平和条約締結の後、北方領土への自由な往来が可能となるのなら戻りたい人たちにとってはいいことかもしれません。
また最近は国境問題自体への関心は薄いですし、国境ということ自体に意味があるのかという議論もあるくらいです。
北方領土棚上げ、平和条約先行となると、平和条約という賞品を日露双方が手に入れることができて、両政権とも次の選挙でのアピールになります。
絶対に動かせない問題が、思わぬ相手の口滑らせで、大きく進展なんてことになれば、ポイントは大きいですね。
事前交渉で、プーチンの下手な演技をするようにしていたとしたら、日本側の薄い反応や、安倍さんの困惑した顔など、いかにもという感じが理解できます。
しかし日本人の多くは反対していますので、この妄想には無理がありますね。
日頃から疑心暗鬼で、魑魅魍魎の交渉をしている偏屈男の妄想ですので気にしないで下さい。