毎日、走りながらiPhoneの読み上げ機能でキンドル本を読んでいます。
走りながらなので、あまり難しい本は向いてません。例えば、尊敬する出口治明氏のおすすめ本「陰謀の日本中世史」は、私自身が歴史に疎いこともあり何度聞いても理解できません。
また歴史上の人物名は読み方が、現代と異なるので、読み上げ機能自体がおかしくなってしまい、余計に混乱してしまいます。
また図表のところで読み上げ機能が止まってしまい、いちいち再開させるのが面倒です。
ライトな現代小説は非常に向いていることに気が付きました。池井戸氏の作品はぴったりです。
さらに無料キンドル本を物色していて、かつて読んでいた夏目漱石作品が目に止まりました。
学生時代に夏目作品は一通り読みました。「こころ」は忘れられない作品です。人の業の深さを学びました。ところが、人気の「坊っちゃん」や「吾輩は猫である」は、当時あまり理解できませんでした。つまるところ私が青かったのだと思います。
そして今回の再読です。理解できなかった「坊っちゃん」から始めてみました。
めちゃくちゃ面白い。
そもそも一度は読んだことがありますし、あらすじも有名なのでわかっています。それなのに面白くて止められません。ではどうして学生時代に理解できなかったのでしょうか。
きっと学生時代の私は、主人公に肩入れしすぎていたのだと思います。主人公がいろいろな困難に出会っていること対して、私自身、本気で怒っていたのでしょう。嫌な気分になっていたのに違いありません。
そして今は、主人公の気持ちが、少し距離を置いて、すんなりと理解できるようになりました。また主人公が適応障害的なところも、すごく親近感がわきます。そしてその苦しみ、ユーモアが理解できます。世間と折り合っていく様がそっくりそのまま自分に通じている気がするのです。
さすが古典ですね。出口さんが古典を読みなさいと言ってた理由が少し分かりました。
この歳でようやく「坊っちゃん」が理解できるようになるとは、遅すぎるだろうとは思いますが、成長していることを嬉しく噛み締めつつ、しばらく夏目作品を楽しもうと思います。