毎日、文章を書いていると、これは書きにくいとか、すらすら楽しく書けるとか、題材によって難易度が全然違うことに気が付きました。当たり前の話なんですけどね。今までは、感じたことがなかったことなので、記録しておきます。
この本を読みました。
村上春樹さんが、村上ファンの川上未映子のインタビューを受けています。
文章を書く人には、新しい発見がたくさんある作品です。
で、注目点は何と言ってもこの部分。
読者を眠らせないための、たった二つのコツ
Kindle の位置No.2983-2991
村上
僕にとって文章をどう書けばいいのかという規範は基本的に二個しかないんです。(中略)「おまえ、俺の話、ちゃんと聞いてんのか」って一人が言うと、もう一人が「俺はつんぼじゃねえや」と答える。(中略)普通の会話だったら、「おまえ、俺の話聞こえてんのか」「聞こえてら」で済む会話ですよね。でもそれじゃドラマにならないわけ。「つんぼじゃねえや」と返すから、そのやりとりに動きが生まれる。(中略)
もう一つは比喩のこと。チャンドラーの比喩で、「私にとって眠れない夜は、太った郵便配達人と同じくらい珍しい」というのがある。これは何度も言っていることだけど、もし「私にとって眠れない夜は稀である」だと、読者はとくに何も感じないですよね。(中略)この二つが僕の文章の書き方のモデルになっている。そのコツさえつかんでいれば、けっこういい文章が書けます。たぶん。
川上未映子,村上春樹. みみずくは黄昏に飛びたつ川上未映子 訊く/村上春樹 語る(新潮文庫) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2983-2991). Kindle 版.
これすごくないですか。
1つ目の「つんぼじゃねえや」
は抽象度の違いですよね。そのままの答えじゃなく、次元を超える。抽象度を変える。
IPPONグランプリとかで出てきそうな能力。
斜め上からの返答。
これを学ぶには、いつも斜に構えてないとできなさそう。
2つ目は比喩
こっちのほうが簡単ぽい。でも村上さんは、日頃から比喩のネタ帳を作っていないそうです。書きながら出てくる。そうでないと文章の新鮮さが失われるそうです。
これもびっくりです。
よく村上春樹ぽい文章の例えで、比喩が必要以上に強調されている文章が出てくるのですが、やはり作られた比喩と自然に出てきた比喩とは少し違うような気がします。
良い文章を書くのは、毎日、包丁を研ぎ続けるようなものですね。
うーーーん。いまいち。