回らない寿司屋には怖くて行けない
部下の御曹司(仮名)は悪いやつではないのですが、少しユニークです。
御曹司の奥様が所用で外泊されるので、娘さんと二人きりで夕食に出かけることになり、それを数週間前からほんとに楽しみにしていて、何度もその話を聞かされました。
「回らない寿司屋に行ったことがないと言うので、一度、連れて行ってやろうと思ってるんですよー。以前、接待で連れて行ってもらったいい店があるんです。おまかせで一人1万行かないくらいで。」
そのことを会社のみんなに話してました。
「そういや新入社員。お前、最近、彼女できたっていってたじゃん。その店に連れて行ってやったら喜ぶよー。」
そして寿司屋の翌日。
「御曹司。昨日どうだった?娘さんとのデート。」
「それがですね。大変だったんです。新入社員もデートに来てたんです。」
「お前が教えたからだろ。」
「そうなんですけど。問題はそこじゃなくて。いつも通りおまかせで頼んで。新入社員にもおまかせで頼むのがルールって教えて。娘にはこれが本物の寿司だぞって。」
「鼻たかだかだな。」
「そうなんですよ。そしたらお会計が二人で数万(いつもの数倍)って言われて。えーっつ。どーゆーこと?って言ったんです。いつもより高いやんって。新入社員はいつもどおりの値段になってて、俺だけ高いんですよ。じゃあいくらなら払えるんですか?って切れられて。結局、いつもの値段にしてもらったんですけど。」
娘と部下の前だから、ふっかけても払うだろうと思われたんでしょう。うまい戦略ですね。普通なら払う。泣きながら。
でもそこは御曹司。相手が悪かった。
基本的に空気は読まない。誰よりもケチ。
娘の前であろうが、部下の前であろうが、そんなのかんけーねー。
値切れるものは値切る。
私だったら無理だな。心の中で泣きながら払っちゃうだろうな。
そもそも回らない寿司屋には行かないですけどねー。